『グラン・トリノ』という傑作
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2009/09/16
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やっと見た。確かに傑作だった。グラン・トリノは、イーストウッド演じる伝統的なアメリカ人の頑固爺さんウォルトと隣家にすむモン族の少年タオとその一家との交流を通して、時代の、アメリカの、人生の、移りかわりを描く重厚な作品だ。詳しいあらすじはwikipedia:グラン・トリノにおまかせする。
前半はややコミカルかつ朗らかに話は進み、途中で物語は一転し終結に向かう。その事件に対して、ウォルトが選んだ決断とは何だったのか。物語はどこに収束していくのか。このグラン・トリノを鑑賞した後は、必ずそれぞれが思うことがあるだろう。その時、自分はどう生きるのか。
どうしてグラン・トリノは傑作なのか。僕はイーストウッドが若い頃の作品は知らないし、最近の作品についても詳しくはない。だからもしかしたら、誤りがあるかもしれないが、このグラン・トリノはイーストウッドのひとつの集大成だと思う。僕が今まで見たイーストウッドの作品の内容やテーマ、シーンなどが幾重にも重なりあっているような印象を受けた。決して派手ではないこの映画に、溢れんばかりの意味が込められているように感じた。恐らく僕がみたことのないイーストウッド作品のエッセンスもグラン・トリノには込められているのではないだろうか。グラン・トリノはイーストウッドのベストアルバムだと僕は思った。
イーストウッドは、このグラン・トリノを最後に事実上の俳優引退を匂わせている。それを念頭においてみると、イーストウッド演じるウォルトの役柄、心情、信念のもつ意味を考えたくなる。そして、ウォルトのラストシーンに何ともいえない大きすぎる感慨を感じることができる。イーストウッドが最後に自ら演じた役柄、そしてそのラストシーンにイーストウッドはどんな思いを込めたのだろうか。
グラン・トリノを見ていて悔しかったことがひとつある。この映画は、普遍的なメッセージを僕たちに与えてくれる。ただそれでもやっぱり、アメリカ人のアメリカ人によるアメリカ人のための映画なんだと思う。映画の雰囲気を純粋にダイレクトに感じきることは、日本人の僕にはできない。グラン・トリノはアメリカという国の、そしてアメリカ人の、侘びと寂びに満ち溢れた映画なのだから。
今日もありがとうございます。寒さのピークはもう過ぎたんですかね??ココアがおいしい季節です。