夜の来訪者
- 作者: プリーストリー,安藤貞雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/02/16
- メディア: 文庫
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スゴ本さんで紹介されているの見て読了。最近はkokode知った本を読むことが多いなーと。スゴ本さんで紹介されたものをここで紹介するのは、身の程知らずのバーゲンセールみたいなところがあるが、個人的フィードバックの意味もこめて紹介させて頂こうかと。
舞台は裕福な家庭、娘の婚約を祝う一家団らんの夜。そこに、警部と名乗る男が訪れて、ある貧しい若い女性が自殺したことを告げる。そして、その自殺に全員が深くかかわっていくのを暴いていくが…
戯曲なんていうと、たまたま授業でとったファウストくらいしか読んだことなかったのだが文句なしに楽しめた。短い物語の中で、散りばめられた伏線が鮮やかに回収されていく。物語がどこに収束していくのかは全くわからない。淡々とした話なのに、読んでいる心は高速で振り回されていく。物語の終点は終わりの始まりであり、始まりの終わりである。そんな印象を受ける。
ところでこの夜の来訪者は、決して他人事ではない。僕は上流階級の生まれでも何でもないが、とにかく他人事ではないのである。果たして自分はどの登場人物に近いのだろうか、自分はどちら側の人間なのだろうか。読了後、物語の面白さに加えそんな疑問を持たせてくれる作品だと思う。
1時間もあれば十分に読みきれる分量。秋の夜長の退屈を晴らすには短いけれど、極濃の1時間をおくれるはず。
最後まで読んでくださって心からありがとうございます。