極東学園天国
- 作者: 日本橋ヨヲコ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/12/03
- メディア: コミック
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時は近未来。舞台となる高校・私立五色台学園は、一度入学すると卒業まで外に出れない、隔離された全寮制の高校である。問題児が集まるこの高校に、主人公・平賀信号(ひらがしんご)が転校してくる。
設定は学園物。全4巻で、大きく2部構成になっている。1部が、食券をかけた学年別対抗戦編。2部が、学園存続騒動編。これだけでは何の話か全くわからないかもしれないけど、心配ゴム用。登場人物の心理や、人間関係の揺らぎに本作の魅力があると思う。
モラトリアムという言葉は少し恥ずかしさを含む気がする。自分はモラトリアム中だと公言できる人はあんまりいないだろう。不安定な時期に、不安定な自分に、正面から向き合うことのある種の気持ちよさを、本作は味あわせてくれる。
本作は、青春(こう書くのも少し恥ずかしく感じてしまうけど)をまっすぐに捉えた作品だと思う。しかしその青春の描き方は、ウォーターボーイズやタッチみたいな青春物と一味違う。湿度の高い青春物とでもいえばいいのか。そして、暗い熱さみたいなものがある。これは決してネガティブな意味ではない。そこに、魅力があるのだ。
設定も、内容も決して現実的なものではない。だが、まぎれもないリアルを感じとることができる。
台詞回しもキレキレである。
嫌だなぁと思うこと
そのままにしてたら
たましいいが腐るから
数あるエッジのきいたセリフの中の一つ。本作は、人によっては中二病かと感じられるかもしれないが、それは違う。中二病が斜に構えて世界を見るのだとしたら、本作は突き抜ける程に正面から世界を見ているのである。その点が決定的に違う。
個人的には、城戸先輩という登場人物が素敵だと思う。
濃厚な魅力の詰まったマンガです。オススメ。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。もう師走ですね。